
「結局、できる人に
仕事が集まってしまうんです」
そんな話を聞くことがあります。
難しい案件は
いつも同じ人。
判断に迷ったときも
その人に聞く。
急ぎの仕事も
「あの人なら早いから」
と、つい任せてしまう。
その人がいる間は
仕事は回ります。
でも
休んだ途端に
仕事が止まる。
忙しくなるほど
さらにその人に仕事が集まる。
周りには
なかなか任せられる仕事が
増えていかない。
こうした状態では
一人の力は高くても
組織として
生み出せる価値は
高まりにくくなります。
「できる人がいる」と「組織としてできる」は違う
仕事ができる人ほど
何を確認するのか。
どこで違和感を持つのか。
どの段階で
誰に相談するのか。
そうした判断を
一つひとつ意識せずに
しています。
本人に聞いても
「経験かな」
「なんとなくわかる」
としか説明できないことも。
だから
作業の手順だけを
教えても
他の人が
同じように判断できるとは
限りません。
大切なのは
何をしているかだけでなく
その人が
何を見て
何を考えて
判断しているのか。
そこまで見ていくことです。
できる人の「判断」を、チームが使えるか
たとえば
ある社員だけが
クレーム対応を
うまく収められているとします。
「あの人は
対応力がある」
で終われば
次のクレームも
またその人に任せることになります。
でも管理職が
「最初に
何を確認した?」
「どこで
相手の不満が強いと感じた?」
「すぐに答えず
一度持ち帰ったのはなぜ?」
と聞いてみると
本人の中にあった判断が
少しずつ言葉になります。
すると
他の人も
「そういうときは
ここを見るのか」
「この状態なら
一度相談した方がいいのか」
と考えやすくなります。
もちろん
すべてを
マニュアルにすればよい
という話ではありません。
経験のある人だからこそ
できる工夫もあります。
状況によって
判断が変わることもあります。
それでも
その人しか知らなかった
判断のポイントを
少しずつ
言葉にしていく。
何を
チームの共通の基準にするのか。
どこは
本人の工夫として
残しておくのか。
そこを整理していくと
一人の経験が
チームでも使える
判断のモノサシに
変わっていきます。
任せられる仕事が増えると、現場の流れも変わる
判断できる人が増えると
これまで
上司やベテランに集まっていた確認が
少しずつ
減っていきます。
確認を待つ時間が減る。
判断できずに
仕事が止まる場面が減る。
一人に集中していた仕事を
他の人にも任せられる。
ベテラン自身も
より難しい仕事や
次の改善に
時間を使いやすくなります。
同じ人数でも
チームとして
担える仕事の範囲が広がる。
一人ではなく
組織として
生み出せる価値が
少しずつ大きくなっていきます。
管理職の役割は
目の前の仕事を
自分でうまく回すことだけではありません。
今できている人の力を
他の人も使える力に
変えていくことも
大切な役割だと思います。
賃上げできる状態を、日々つくっているか
賃上げをするかどうかは
経営が決めることです。
でも
その原資を
生み続けられる仕事の状態は
日々の現場の中で
つくられていきます。
一人にしかできなかった判断を
他の人もできるようになる。
確認を待つ時間が減る。
任せられる仕事が増える。
できる人は
より難しい仕事や
次の改善に
時間を使えるようになる。
そうして
同じ人数でも
チームとして
担える仕事や
生み出せる価値が
広がっていく。
管理職が担っているのは
目の前の仕事を
回すことだけではありません。
一人の経験や判断を
その人だけのものにせず
チームに残していくこと。
それも
賃上げできる会社を
つくっていく仕事の一つだと
思います。
「あの人がいないと
進まない」
そう感じる仕事があるなら
その人にしか
できないのではなく
その人が何を見て
どう判断しているのかが
まだ言葉になっていない
だけかもしれません。















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