
採用できた。
面接の印象も、
悪くなかった。
本人も、
「長く働きたいです」
と言ってくれていた。
それなのに、
数か月で辞めてしまう。
こういうことが続くと、
経営者としては
かなりこたえます。
また一から採用か。
また教え直しか。
自分の見る目が
なかったのか。
そんなふうに感じてしまうことも、
あるかもしれません。
でも、ここで少し
立ち止まって考えてみたいのです。
退職届が出た日が、
本当に問題の始まりだったのでしょうか。
多くの場合、
人の気持ちは
辞める日より前から
少しずつ離れています。
ある日突然
「辞めます」と言われたように
見えるかもしれません。
でも本人の中では、
その前から
小さな違和感が
積み重なっていた。
そんなことがあります。
「採用に失敗した」で終わらせない
採用した人が
すぐ辞めてしまうと、
「採用に失敗した」
と考えたくなります。
もちろん、
採用時の見極めは大切です。
仕事内容に合っているか。
会社の考え方に合っているか。
働き方の条件に無理がないか。
ここを見ることは、
必要なことです。
ただ、
採用だけですべてが
決まるわけではありません。
入社したあとに、
その人がどう受け入れられたか。
何を期待されていると
感じられたか。
自分が成長していると
感じられたか。
ここが曖昧なままだと、
せっかく採用した人の気持ちは
少しずつ離れていきます。
人は、辞める前から少しずつ離れている
退職の理由は、
最後には短い言葉になります。
「一身上の都合」
「家庭の事情」
「別の仕事が決まりました」
その背景には、
日常の小さな違和感が
重なっていることがあります。
何を求められているのか
よくわからない。
できているのかどうかが
見えない。
誰に相談すればいいのか
わからない。
頑張っているつもりなのに、
見てもらえている感じがしない。
この会社で成長できる
イメージが持てない。
こうしたことは、
一つひとつは小さなことです。
でも積み重なると、
人の気持ちは
職場から少しずつ離れていきます。
私自身も、
離職や定着の相談を受けるとき、
同じことを感じることがあります。
最初は
「採用の問題かもしれない」
という話で始まっても、
一緒に状況を整理していくうちに、
受け入れの話になっていくことがあります。
あるとき、
スタッフが辞めていくという相談を受けました。
話していくうちに出てきたのは、
採用の見極めの話ではなく、
「何を期待しているのかが、
うまく伝わっていないかもしれない」
という気づきでした。
採用の問題に見えていたものが、
入社後の受け入れの話に
変わっていきました。
採用はゴールではなく、受け入れの始まり
採用は、
ゴールではありません。
むしろ、
ここからが始まりです。
入社したあとに、
本人に何が見えていて、
何が見えていないのか。
最初のうちに、
こうしたことが
言葉になっているでしょうか。
最初の一か月で、
何を覚えてほしいのか。
困ったときに、
誰に相談すればよいのか。
できるようになったことを、
どう確認するのか。
ここが曖昧なままだと、
新しく入った人は
自分の現在地がわかりません。
頑張っているつもりでも、
合っているのかどうかが
わからない。
これでは、
成長実感は生まれにくくなります。
早期離職は、
本人の意識だけの問題とは
限りません。
役割の期待が見えていない。
相談できる場が決まっていない。
成長の道筋が言葉になっていない。
そうした受け入れの構造が、
まだ整っていないだけかもしれません。
自社に置き換えるなら、
まずはこの問いから
考えてみてもよいと思います。
入社後に、
何を期待しているかを
伝えられているか。
困ったときに、
誰に相談すればよいかが
見えているか。
できるようになったことを、
確認する場があるか。
人を責める前に、
受け入れの仕組みを
一緒に見直してみませんか。










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