
経営者の方から
こういう声を聞くことがあります。
「自分が伝えたことと
現場でやっていることが
ずれているんです。
ちゃんと話したはずなのに」
経営者として伝えた。
幹部会議でも共有した。
管理職にも落としてもらった。
でも現場に行くと
「そんな話、聞いていません」
「それより今は〇〇が忙しくて」
となる。
こういうとき
こう考えるのではないでしょうか。
「伝え方が悪かったのかもしれない」
「もっと頻繁に伝えなければ」
「幹部や管理職がちゃんと落としていない」
伝達の方法や
間に入る人の問題として
見ることが多いです。
ただ
伝達の仕方の前に
確認したいことがあります。
社長と現場では、見ている世界が違う
社長の言葉が現場に届かない理由は
伝達の問題だけではないことがあります。
経営者が見ている世界と
現場の社員が見ている世界は
そもそも見ている時間の長さと
仕事の単位が違います。
経営者は
3年後・5年後という
長い時間軸で会社の方向を考えます。
「このままでは5年後に競合に負ける」
「3年以内に新しい事業の柱をつくりたい」
年単位・事業単位の大きな塊で
世界を見ています。
一方
現場の社員が見ているのは
今日・今週という
短い時間軸の仕事です。
「今日中に〇〇を終わらせなければ」
「今週のアポイントを入れなければ」
日単位・案件単位の
目の前の仕事で世界が動いています。
どちらが正しいわけではありません。
ただ
見ている世界の時間の長さと
仕事の単位が
これほど違うと
同じ言葉を使っても
指している景色が違います。
「お客様を増やす」という言葉が
経営者には
3年後の顧客基盤をつくる話として
見えている。
でも現場には
「今週のアポイントを増やせ」
という話に聞こえている。
経営者は未来の土台の話をしている。
現場は
今週の負荷が増える話として
受け取っている。
これは
伝え方の問題ではなく
見ている世界の違いから来ています。
階層ごとに、見ている時間軸が違う
経営者と現場の間には
幹部・管理職という階層があります。
経営者は
3年後・5年後の会社全体を見ています。
幹部や部門長は
1年後・2年後の部門の役割を見ています。
管理職は
今期・今月のチームの仕事を見ています。
現場の社員は
今日・今週の案件や業務を見ています。
これは問題ではありません。
それぞれの階層が
それぞれの時間軸で
仕事をしていることは
組織として必要なことです。
ただ
この違いを前提にしないまま
「伝えた」だけでは
同じ言葉が
それぞれの時間軸で
違う意味になります。
幹部・管理職は、時間軸をつなぐ役割を持つ
幹部や管理職は
社長の言葉をそのまま下ろすだけの
伝令役ではありません。
長い時間軸の話を
自分の部門やチームの時間軸に
置き換える役割を持っています。
3年後の話を
今期の重点に変える。
今期の重点を
今月の行動に変える。
この変換があるから
社長の目標は
現場の仕事につながっていきます。
時間軸のズレを、対話でつなぐ
時間軸の違いは
なくすことはできません。
でも
つなぐことはできます。
経営者が3年の絵を語るとき
「では今年何が変わるか」を一緒に言葉にする。
幹部が今年の計画を立てるとき
「現場の今月の仕事と、どうつながるか」を
確認する。
管理職が目標を落とすとき
「メンバーの今日の判断に
これがどう関係するか」を語れているか。
この対話が各層で起きていると
長い時間軸の話が
短い時間軸の仕事に
少しずつ降りてきます。
これは
伝達の精度を上げる話ではありません。
それぞれの層が
「自分の時間軸から見た景色」を
隣の層に語れているかどうかの話です。
経営者が「なぜ伝わらないのか」と感じるとき
伝達の回数や方法を増やすより前に
確認したいのはここです。
自分が語っている言葉は
現場の時間軸では
何として聞こえているか。
3年の絵が
今日の仕事の話として
聞こえているか。
景色の違いを前提にして話すことが
「社長の話」を
「自分の仕事」として受け取ってもらうための
出発点になります。
グロウスリーでは
経営者が見ている方向性が
現場の行動につながるように
階層ごとの役割や時間軸
目標設定、管理職の関わり方を
現場の状況に合わせて一緒に整理しています。
制度や研修の話としてまとまっていなくても
今の会社で気になっていることを
そのまま話すところから始められます。














