
「研修をやっても
変わらない」
そう感じている経営者に
お会いすることがあります。
内容が悪かったのか。
講師が合わなかったのか。
社員のやる気の問題なのか。
そんなふうに
考えたくなることもあります。
でも私は
そのどれでもないことが
多いと感じています。
研修の相談を受けるとき
最初に出てくるのは
たいていテーマです。
管理職研修をしたい。
コミュニケーションを
何とかしたい。
リーダーシップを
身につけてほしい。
もちろん
どれも大切なテーマです。
ただ
目標から逆算した上で
研修が選ばれていることは
多くありません。
どちらかというと
目の前の課題に合わせて
研修テーマが決まっていることも
少なくない印象です。
研修テーマの前に、聞きたいことがある
だから私は
研修の相談を受けたとき
先にテーマを決めません。
まず聞くのは
こういうことです。
「3年後に
どんな人が増えていてほしいですか」
あるいは
もう少し大きな問いとして
こう聞くこともあります。
「もし、社長が
今の役割を少しずつ手放していくとしたら
誰が何を担える状態に
しておきたいですか」
「ビジネスのやり方が
大きく変わるとき
誰がそれを動かせる状態に
しておきたいですか」
すると
最初に返ってくる言葉は
たいていこうです。
「考えたことなかった……」
でもその後
少しずつ思考が回り始めます。
「このままだと
社長の世代交代と同時に
幹部層の世代交代も
必要になるかもしれない」
「後継者のタイプからすると
こういう人材を右腕として
育成しておく必要がある」
そういう言葉が
出てくるようになります。
研修の話をしていたのに
気づけば
会社の未来の話になっている。
でもそこにこそ
研修の本当の意味があると
私は考えています。
引退のとき、あるいはビジネスが変わるとき
今の組織は、
今の経営者と
今のビジネスモデルに
合わせてできています。
それをそのまま
次の経営者や
次のビジネスの形に
引き継ぐことはできません。
だからこそ
社長が役割を手放していくとき
あるいはビジネスが変わるときを
見据えて
いまから組織を変えていく
必要があります。
今の社長が担っている判断を
誰が引き継いでいるのか。
現場をまとめる役割を
誰が担えているのか。
若手を育てる役割を
誰が持っているのか。
この問いから逆算すると
今から誰に何を経験させるべきかが
見えてきます。
研修は
その流れの中にあります。
テーマを先に決めるのではなく
育てたい姿から逆算して
研修が選ばれる。
この順番が
研修を現場に根づかせる
最初の一歩だと思っています。
研修は、育成計画の一部である
経営計画には
会社がどこへ向かうかが
書かれています。
でも多くの場合
その未来を実現するために
誰をどう育てるかは
別に考えられていません。
経営計画から人材計画が生まれ
人材計画から育成計画が生まれ
育成計画の一部として
研修が位置づく。
この順番で考えると
研修は単発のイベントではなく
会社の未来をつくる
仕組みの一部になります。
逆に言えば
研修だけが独立して動くと
何を学んでも
日常との接点が見えにくくなります。
受ける側の社員も
なぜ今これを学ぶのかが
わからないまま
時間が過ぎていく。
それが
「研修をやっても変わらない」
という感覚につながっていると
私は考えています。
自社に置き換えるなら
まずはこの問いから
考えてみてもよいと思います。
社長が役割を手放していくとき
あるいはビジネスが大きく変わるとき
誰がどの役割を担えている
状態にしたいか。
今の組織は
今の経営者に合わせてできている。
その先を見据えたとき
いま誰に何を経験させる
必要があるか。
研修テーマは
その問いの後から
見えてくるものかもしれません。
研修を考えるとき
先にテーマを選ぶより
まず育てたい姿を
言葉にしてみることを
おすすめしています。
その姿が見えてくると
いま必要な研修や育成の形も
少しずつ見えやすくなります。












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