
「幹部に任せているのに
なぜか現場に伝わっていなくて」
こういう相談を受けるとき
たいてい共通した構造があります。
幹部は確かに伝えている。
でも、現場は動いていない。
こういうとき
「幹部の伝え方が悪い」と
考えてしまいがちです。
ただ、少し立ち止まって考えてみると
問題はもう少し手前にあることが
ほとんどです。
幹部が「伝令役」として動いているとき
社長の言葉はそのまま降りてきます。
でも、現場にとって
その言葉が自分たちの仕事に
どうつながるのかまでは
必ずしも伝わっていません。
「社長はこう言っていた」と伝えることと
「社長が言っていることは
私たちの仕事ではこういうことだ」
と言えることは、違います。
前者は代弁です。
後者が翻訳です。
幹部の役割は
経営者の言葉をそのまま伝えることではありません。
経営者の意図を受け取り
現場が動ける言葉に
置き換えることです。
翻訳できる人は、いきなりできるわけではない
ただ、幹部自身も
最初から翻訳できるわけではありません。
多くの幹部は
まず「正確に伝える」段階から始まります。
社長が言ったことを
間違えずにそのまま伝える。
ここでの関心は
伝え漏れがないかどうかです。
次に来るのが
「相手に伝わるように言い換える」段階です。
同じ内容でも
現場の言葉で言い直す。
たとえば「もっと挑戦してほしい」を
「今期は、新しいやり方を一つ試してみてほしい」
というふうに
現場が動ける粒度に変える。
ここまでできると
翻訳者としての役割が見え始めます。
さらに進むと
もう一段先の関わり方が出てきます。
経営者の意図と
現場が今置かれている状況の両方を見ながら
何をどう伝えるかを
自分で判断する段階です。
同じ社長の言葉でも
今の現場の状態によって
強調する部分を変える。
急いで伝えるべきか
少し寝かせてから伝えるべきかも
自分で判断する。
この段階まで来ると
幹部は「伝える人」ではなく
「経営者と現場をつなぐ接続点」になっていきます。
幹部に任せていることの中身を、問い直す
「幹部に任せている」の中身が
「降ろすことを任せている」なのか
「翻訳することを任せている」なのか。
ここを問い直すことが
組織の伝達力を変える入口になります。
幹部が最初から
翻訳者として動けるわけではありません。
正確に伝える段階から
言い換える段階へ。
そして
自分で判断して伝える段階へ。
この移行を
幹部自身の経験の中で
進めていく必要があります。
経営者と対話しながら
「自分はこう理解した」と
確かめられる場があるか。
会議や朝礼で
そのまま降ろすだけで
終わっていないか。
そこが
幹部が翻訳者として育っていけるかどうかを
左右します。
「幹部に伝えているのに
なぜ現場に届かないのだろう」
と感じている方は
幹部が翻訳者として動ける状態になっているかを
一緒に整理してみませんか。
伝え方の問題なのか。
まだ正確に伝える段階なのか
それとも言い換える段階まで来ているのか。
そこから
一緒に考えていければと思います。















この記事へのコメントはありません。