制度は入った。では、誰が日常で回すのか

「研修も、評価制度も、1on1も、全部やっています。それでも現場は変わらないんです」

この言葉を、ここ数年で
ずいぶん多く聞くようになりました。

打ち手がないわけではない。

むしろ、丁寧に整えてきた。

にもかかわらず
日常に戻ると
元の動きに戻ってしまう。

そういう会社が
決して少なくありません。

これまでは
会議の構造や仕事の依頼の仕方など
現場の「仕組みの問題」として
見立て直す視点を扱ってきました。

ただ、もう一段深いところで
止まっている会社があります。

仕組みは整えた。

場も設計した。

それでも、使われていない。

回っていない。

この「使われない」という問題は
仕組みの外側にあるのではなく
仕組みを使う人の受け取り方の中で
起きていることかもしれません。

正しいとわかっていても、人はすぐには動けない

人は、正しいとわかっていることでも
すぐに日常の動きへ
変えられるわけではありません。

新しい評価制度が導入されたとき
「これは良い制度だ」と
頭では理解していても
運用が始まると
以前のやり方に戻ってしまう。

1on1が義務化されても
何を話せばいいかわからずに
時間が過ぎていく。

会議の進め方を変えても
気づけば同じ人が
同じように話し続けている。

これは、意欲が足りないからでも
弱いからでもありません。

人が新しいことに向き合うときに
自然に起きやすい反応です。

制度は、紙に書かれた通りには受け取られない

さらにいえば
制度は紙に書かれた通りに
受け取られるわけではありません。

上司がどう説明したか。

会議でどう扱われたか。

誰かが不安を口にしたとき
周囲がどう反応したか。

そうした日々のやり取りの中で

「これは使ってよいものなのか」

「本音を話してよい場なのか」

という受け止め方が
少しずつつくられていきます。

制度が「動いている」かどうかは
制度そのものだけでなく
日常の会話の中で
少しずつ決まっていくのです。

問うべきは、なぜ使われないのかではない

だとすると、問うべきは
「なぜ使われないのか」ではなく
「使われやすい状態がつくれているか」
になります。

制度を入れることと
制度が日常で回ることの間には
もう一つの設計が必要です。

それは、人の受け取り方に合わせた
使われやすい場と手順の設計です。

ここからは
仕組みや制度そのものだけでなく
それを受け取る人の側に
目を向けてみたいと思います。

人がどう受け止め
どう迷い
どう日常の行動に戻っていくのか。

それを知ることで
すでに整えてきた制度や場が
もう少し動きやすくなるはずです。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。